枠物語の最外枠にあたる物語で、シャーリアール王(ペルシア語: شهريارŠahriyār シャフリヤール、「王者」の意味)は彼の一番目の妻の不貞を発見した怒りから、処女と結婚しては翌朝には処刑していた。殺害した女性が3000人に達したとき、彼は大臣の娘のシェヘラザードと結婚した。
父の反対を押し切り、シェヘラザードは自ら王と一晩を共にした。シェヘラザードは王の閨に行くと、最愛の妹ドニアザード(ドゥンヤザード)への別れを告げたいと望んだ。シェヘラザードは夜の間中話し続けるようにドニアザードがせがむことを二人で約束していた。王は横になってシェヘラザードの最初の話に聞き入り、次の話をするように言ったが、シェヘラザードは夜が明けたので口をつぐんだ。そして、慎み深く、「明日お話しするお話は今宵のものより、もっと心躍りましょう」と言うのであった。
そして王が新しい話を望んでシェヘラザードを生かしておいたため、千一の心躍る夜が過ぎ、その間に王とシェヘラザードは三人の子をもうけた。王妃となったシェヘラザードによって、王はお話を楽しんだだけではなく人倫と寛容をも身に付けたのであった。
これらの話はイランの「千の神話」(ペルシア語: هزارافسانهHazār-Afsāna)と呼ばれる物語を核としている。
シェヘラザードは、古い段階ではシーラーザード(شیرازدŠīrāzād、アリー・アル=マスウーディー)、シャフラーザード(شهرازادŠahrāzād、イブン・アル=ナディム)と記され、後者は「領せる地 (شهر šahr) の麗しき (ازاد āzād) 女」という意味になる。アッバース朝カリフ・ハールーン・アッラシードの母、ハイズラーンは、シェヘラザードのモデルであるといわれる。
シェヘラザードは、「見目麗しき」(چهرازاد Čehrzād/Čehrāzād) とたたえられる上古のカヤーニー王朝の王バフマーンの娘のホマーイ妃と同じと看做され、混同され、或は部分的に同じ起源を持っている。
- 『アラビアン・ナイト』(全18巻及び別巻) 前嶋信次・池田修訳、平凡社〈平凡社東洋文庫〉 - 原典アラビア語(カルカッタ第二版)からの翻訳
- 『完訳 千一夜物語』(全13巻) 豊島与志雄ほか訳、岩波書店〈岩波文庫〉、1988年。 - マルドリュス版
- 『バートン版 千夜一夜物語』 筑摩書房〈ちくま文庫〉、2003年。 - バートン版
- ケイト・D・ウィギン、ノラ・A・スミス編 『アラビアン・ナイト』 坂井晴彦訳、W・ハーヴェイ他画、福音館書店〈福音館古典童話シリーズ〉、1997年。 - 児童書
- 前嶋信次 『アラビアン・ナイトの世界』 平凡社ライブラリー、1995年
- ロバート・アーウィン、 西尾哲夫訳 『必携アラビアン・ナイト 物語の迷宮へ』 平凡社、1998年
- プロジェクト・グーテンベルク
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