元来は、種としてのホモ=サピエンスのすぐ下位、あるいはそれに次ぐ分類群として提唱されてきたもの"で、遺伝的に多少とも隔離された人類集団で、他のどのような隔離集団とも異なった集団遺伝子組成を有するものとされ、他の生物における亜種に該当する。しかし後述のとおり現在自然人類学において、人種を識別するために採用されていた形質が実は勾配としか記述できないために、A.M.ルロワといった一部をのぞき、積極的に人種概念の科学的有効性を主張する研究者は少ないといえる。
現在多くの自然人類学者や遺伝学者は人種という概念を使わない。それは人種概念自体が近代西洋の価値観に根ざしていることが暴露されたからであり、また学術的にも文化的な区分、つまり民族に対してその民族がどんな形態学的あるいは遺伝学的な特徴を持っているのかというトートロジカルな議論に落ち着いてしまい、自然科学的な問題になりにくいからである。そのため便宜的に人種という概念を利用する場合には、1〜数万年前の分布を参考にした地理的集団の系譜であるかが問題となる。この背景には複数の形質の地理的集団の差異が一致せず、勾配としか把握できないこと、どの形質(皮膚の色、頭骨の形態、光彩の色など)に重点を置くのか科学的な根拠がないことがあげられる。これはある(人種的)形質についての地理的集団間の差異を否定しているわけではなく、人種区分に際しての恣意的な重み付けが問題になっているのである。
近代においては特に奴隷貿易でアフリカ人らを人身売買する過程で、分類および認識が求められた。17世紀にはフランソワ・ベルニエが『人種による新大地分割論』(1684)を出版し、人間を人種によって分類することを論じている。
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